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*インド・ヨーロッパ語族 印欧語族とも呼ばれる。インドからヨーロッパに渡る多くの言語を含む[[語族]]。とくに[[英語]]などヨーロッパの言語が世界に広まった関係で、世界30億人もの人々が広範囲に使用する事実上世界一勢力の広い語族。 イギリスの裁判官[[ウィリアム・ジョーンズ]]が、1786年に[[サンスクリット語]]とヨーロッパの諸言語のあいだに良く似た特徴があることに気づいたのがきっかけ。これらの言語の間には、ただ単に語が似ているだけでなく、似方に一定の法則性があり、文法的な性質にも類似点があった。これを詳細に調べた結果、インドからヨーロッパに及ぶ広範囲の多くの言語が、一つの祖先([[祖語]])に辿れるだろうと結論付けられた。 また、この研究によって[[比較言語学]]が発展。これが現代言語学のはじまりにもつながった。現代言語学における多くの用語や概念が、このインド・ヨーロッパ語族の研究に基づいたものである点には注意が必要(後述)。 ---- **含まれる言語 多くの言語を含むので、まず下位分類として「語派」に分ける。 ★[[ゲルマン語派]]: [[英語]]や[[ドイツ語]]が有名。 ★[[イタリック語派]]: [[フランス語]]、[[スペイン語]]などメジャーな言語が多い。 ★[[スラブ語派]]: [[ロシア語]]とか。 ★[[ケルト語派]]: 現存する言語が少ない。現在ではイギリスの一部地域とかに話者がいる。 ★[[バルト語派]]: スラブ語派に近いと考えられている。 ★[[インド語派]]: インドの主要言語[[ヒンディー語]]が含まれる。 ★[[イラン語派]]: [[ペルシャ語]]とか。 ★[[ギリシャ語]]: 一つの語派に一つの言語しか属していない。以下同様。 ★[[アルバニア語]] ★[[アルメニア語]] ★[[トカラ語]]など… すでに[[死語]]になった語派もいくつかある。 ---- **特徴 インド・ヨーロッパ語族は祖先が同じであり、語の似ている具合からそれが証明された。文法的にも全てのインド・ヨードッパ語族に共通する特徴がある、というわけではない。 例えば、[[語順]]。 英語の語順といえば、SVO語順を思い出すだろう。 実際インド・ヨーロッパ語族の中にもSVO語順の言語はいくつもあるが、古い時代にはSOVが多かった可能性がある。例えば[[ラテン語]]は(語順は、比較的自由な面もあるけれど)SOV語順になることが多い。そして今もインド語派とかはSOV語順になる。 ケルト語派には、VSO語順になるものもある。 わりとわかりやすい文法的な共通点としては、 &bold(){・名詞に「性」があり、「数」と「格」で変化する} という特徴が挙げられる。 &bold(){名詞の「[[性]]」} 名詞は「性」で分類される。「性」とは、自然の性(人間や動物の性)を基本として、全ての無生物にも任意で「性」が与えられ分類されたもの。言語にもよるが、「男」「女」「中」の三分類がありうる。 名詞の「[[数]]」と「[[格]]」 名詞は、まずその「数(すう)」つまり[[複数]]か[[単数]]か(あるいは[[双数]]か)によって変化する。そしてそれぞれの「数」について、今度は他の語(とくに動詞とか)との関係によって「[[格]]」変化する。こうした変化は、「性」によっても異なるらしい。 が、やはり現代のインド・ヨーロッパ語族では、こうした特徴はそれぞれ。例えば英語には、あまり「性」の特徴は残っていないし(「本」とか「ペン」とかが男か女かというのは考えない)、「格」変化もあまりしない(I my me mine みたいな代名詞なら変化するが、普通の名詞は Mike's みたいな変化くらいしかしない)。 その他、動詞は主語の[[人称]]によって変化したり、[[時制]]や[[法]]で色々な変化があるというのもこの語族の特徴かもしれない。 ---- **歴史 &bold(){[[インド・ヨーロッパ祖語]](原インド・ヨーロッパ語族)}: まだ一つだったころのインド・ヨーロッパ語族。 ◆どこにあった?インド・ヨーロッパ語族の故郷はどこ? 謎が多い。インド・ヨーロッパ語族の多くの言語に共通する単語をもとに(「ぶな」とか「鮭」とか)、その単語はきっと昔からあったものと見て、それが実在するところこそ故郷だという主張がされてきているが、不確実である。 より信頼性の高い研究として、クラーエ『インド・ゲルマン人』(H. Krahe &italic(){Die Indogermanen.} 1935)では「東ヨーロッパのステップ地帯」がインド・ヨーロッパ語族の故郷であろうとされている。 #ref(gmap-ie.lf.kg.small.jpg)このへん? &italic(){by google map 2013} ◆誰が、いつごろ話していた? 9000年前ごろまで、アナトリア(今のトルコあたり)で話されていたという説がある。 より多くの人が指示している説では、6000年前ごろにクルガン人がヴォルガ河流域(上の地図、モスクワの南、カスピ海とか黒海に挟まれたあたりの地域)で話されていたという説が有力。 ◆どんな発音だった? 破裂音に 無声・有声・有声有気 の3対立があった 摩擦音は s(~z) だけだった …などと考えられている。 他に「[[咽頭音説]]」なども参照のこと。 &bold(){ケントゥム・サテム語}: インド・ヨーロッパ語族は、大まかに見ると発音の特徴の違いで東西で二種類に分けることができる。西のをケントゥム語、東のをサテム語と呼ぶ。
*インド・ヨーロッパ語族 印欧語族とも呼ばれる。インドからヨーロッパに渡る多くの言語を含む[[語族]]。とくに[[英語]]などヨーロッパの言語が世界に広まった関係で、世界30億人もの人々が広範囲に使用する事実上世界一勢力の広い語族。 イギリスの裁判官[[ウィリアム・ジョーンズ]]が、1786年に[[サンスクリット語]]とヨーロッパの諸言語のあいだに良く似た特徴があることに気づいたのがきっかけ。これらの言語の間には、ただ単に語が似ているだけでなく、似方に一定の法則性があり、文法的な性質にも類似点があった。これを詳細に調べた結果、インドからヨーロッパに及ぶ広範囲の多くの言語が、一つの祖先([[祖語]])に辿れるだろうと結論付けられた。 また、この研究によって[[比較言語学]]が発展。これが現代言語学のはじまりにもつながった。現代言語学における多くの用語や概念が、このインド・ヨーロッパ語族の研究に基づいたものである点には注意が必要(後述)。 ---- **含まれる言語 多くの言語を含むので、まず下位分類として「語派」に分ける。 ★[[ゲルマン語派]]: [[英語]]や[[ドイツ語]]が有名。 ★[[イタリック語派]]: [[フランス語]]、[[スペイン語]]などメジャーな言語が多い。 ★[[スラブ語派]]: [[ロシア語]]とか。 ★[[ケルト語派]]: 現存する言語が少ない。現在ではイギリスの一部地域とかに話者がいる。 ★[[バルト語派]]: スラブ語派に近いと考えられている。 ★[[インド語派]]: インドの主要言語[[ヒンディー語]]が含まれる。 ★[[イラン語派]]: [[ペルシャ語]]とか。 ★[[ギリシャ語]]: 一つの語派に一つの言語しか属していない。以下同様。 ★[[アルバニア語]] ★[[アルメニア語]] ★[[トカラ語]]など… すでに[[死語]]になった語派もいくつかある。 ---- **特徴 インド・ヨーロッパ語族は祖先が同じであり、語の似ている具合からそれが証明された。文法的にも全てのインド・ヨードッパ語族に共通する特徴がある、というわけではない。 例えば、[[語順]]。 英語の語順といえば、SVO語順を思い出すだろう。 実際インド・ヨーロッパ語族の中にもSVO語順の言語はいくつもあるが、古い時代にはSOVが多かった可能性がある。例えば[[ラテン語]]は(語順は、比較的自由な面もあるけれど)SOV語順になることが多い。そして今もインド語派とかはSOV語順になる。 ケルト語派には、VSO語順になるものもある。 わりとわかりやすい文法的な共通点としては、 &bold(){・名詞に「性」があり、「数」と「格」で変化する} という特徴が挙げられる。 &bold(){名詞の「[[性]]」} 名詞は「性」で分類される。「性」とは、自然の性(人間や動物の性)を基本として、全ての無生物にも任意で「性」が与えられ分類されたもの。言語にもよるが、「男」「女」「中」の三分類がありうる。 名詞の「[[数]]」と「[[格]]」 名詞は、まずその「数(すう)」つまり[[複数]]か[[単数]]か(あるいは[[双数]]か)によって変化する。そしてそれぞれの「数」について、今度は他の語(とくに動詞とか)との関係によって「[[格]]」変化する。こうした変化は、「性」によっても異なるらしい。 が、やはり現代のインド・ヨーロッパ語族では、こうした特徴はそれぞれ。例えば英語には、あまり「性」の特徴は残っていないし(「本」とか「ペン」とかが男か女かというのは考えない)、「格」変化もあまりしない(I my me mine みたいな代名詞なら変化するが、普通の名詞は Mike's みたいな変化くらいしかしない)。 その他、動詞は主語の[[人称]]によって変化したり、[[時制]]や[[法]]で色々な変化があるというのもこの語族の特徴かもしれない。 ---- **歴史 &bold(){[[インド・ヨーロッパ祖語]](原インド・ヨーロッパ語族)} まだ一つだったころの[[インド・ヨーロッパ語族]]の祖先。9000年?~6000年?前 &bold(){ケントゥム・サテム語}: インド・ヨーロッパ語族は、次第に東西に分かれて行った。西のをケントゥム語、東のをサテム語と呼ぶ。

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