マメカンの冒険記

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カズムスにある自宅から霊峰エルアルドを越え、キュレオ城にしばらく滞在。
船で西の大陸へ上陸。補給のため漁村トトリに訪れる。
小高い丘からケヤンの街を発見し、フランプの森を抜けてダンドンへ至る。
そして南方のコルの村で眠ることにし、宝石をそこに埋めた。
フレイン達とは逆のルートを辿っていることが分かる。

各地をめぐり、最終的にマメカンが眠りについたコルの村に再び戻ってくると、
そこには光の精霊石が埋まっている。

マメカンの冒険記 ~1~

(コルの村・民家)

私は英雄的冒険家のマメカンだ
後世に現れるであろう冒険者のために
挑戦状を書こうと決意した

自身の年齢を計算したとき
おそらく私が挑む
最後の冒険になるはずだ

私はある場所に究極の秘宝を埋めた
人によっては価値のあるものだろう
そうでない人にはただの石だ

しかし冒険者たる諸君には
ぜひ挑みの精神を思い出してほしい
なぜ我々は冒険をするのか

それはそこに
不気味な洞窟があるからだろう

その晩
私は澄んだ水路のみなもに笑いかける

そして尋ねる
お前の本心はどちらなんだ、と

宝を見つけて欲しいという気持ちと
宝を渡したくないという気持ちとが
私の胸中で渦を巻いている

もしも宝を見つけた君がいたら
できればそれを大切にしてほしい
それが私の一番大切なものだから・・・

マメカンの冒険記 ~2~

(ダンドンの城下町・民家)

私は住み慣れた我が家をあとにして
自分の影を追いかけるように
北へ北へと歩を進める

昼ごろになると日は私の背中を焼き
影を黒々と地面に投げかける

そして私の行く手をさえぎるように
高い連山が目の前に現れる

前面にはそり立つような壁が
そして背後には焼き付ける太陽
だがそれで私が諦めるはずもない

勇猛果敢に連山の麓へ一歩踏み入れる
瞬間、空気が変わるのを肌で感じた

熱波がたちどころに追い払われ
私の耳に冷えた風がささやきかける
引き返したほうがいいよ、と

魂が声高に吼えるのをたしかに聞いた
胸の震えを抑えながら
私は霊峰に立ち向かった・・・

つづく

マメカンの冒険記 ~3~

(レコムの教会)

私は山脈を打ち倒した
ただ今さらに取りざたして
書くようなことでもない

霊峰を単独踏破する偉業は
私から始まったのだから

砂漠の城にしばらく滞在したのち
私は船へと飛び乗った

海原の切れ間に魚の飛ぶしぶきが
白波のさまざまな表情や姿が
乱反射する太陽の輝きが

紺碧の風に巻き上げられて
私の身体を突き抜けていく

帆にはらむ風はまるで
私の希望と最後の意志を受けるように
いつまでも膨らんでいる

それが破裂したとき
私はどうなってしまうのだろうか

それが訪れるときはおそらく
私が最期を迎えるときだろう
そう近くもない、と自嘲気味に思う

こんなにも船酔いする身体だとは
まったく思わなかったからだ・・・

杵柄はとっても
やはり歳はとるものではない・・・

つづく

マメカンの冒険記 ~4~

(ハルテアの城下町・民家)

西の大陸へとたどり着いた

途中で補給のために訪れた漁村は
食事も良く人々もあたたかく
快適といってよい小さな村だった

もっとも、彼らの話す言葉は
ほとんどが暗号のようであったが・・・
それはさておき

森を抜けて川を越えて
小高い丘に立ったとき
私は自分の目を疑った

それは喜ばしい変化であり
人々の力強さに触れた瞬間でも
あったに違いないだろう

新しい集落が出来ている
聞くところによれば彼ら彼女らも
心の冒険者のようだった

私はあちこちへ行くことを運命と
している

しかし彼ら彼女らは新しい
村を作ることを運命としていた

心の冒険者たちは目が輝いていた

生色に満ち溢れたまなざしは
小川にひるがえった色とりどりの
風景のようですらあった

彼らに輝かしい未来があるように・・・

つづく

マメカンの冒険記 ~5~

(カズムスの宿屋)

霧深い森を抜けて私は始祖の街へと
たどり着くことに成功した

これまでの冒険は比較するといささか
安全なものだったかもしれない

一つの街に根付き
少しずつ少しずつ、と、まるで
度胸試しをする子とものようですら
あっただろう
しかし今は違う

日の本より旅立った私は休むことなく
峻険な山々を越え、海原と戦い

果てしなき平原の果てを見果て
ついに始祖の街へと戻ってきたのだ

これまで見てきた街のどれよりも
人々は快活で
路地の裏まで生気で満たされており

清潔な人々と高潔な精神とが
始祖の街を最も優れた街にしていた

夜になると天上には星々が輝き
眼科には生命の息づく灯りが
所狭しとあたりを埋め尽くす

人の生きる姿がこんなにも
荘厳で情熱的だったとは
冒険家でなければ感じられなかった
かもしれない

始祖の街より玉体の
南方にある小さな村で
私は眠ることにした

白銀に輝く宝石をこの村に
埋めることにした

どうか冒険者達よ
思い上がるつもりではないが
私の足跡をたどってみてほしい

真実の感動は闇深き洞窟にはない
人々の息遣いの交じり合う場所にこそ
永遠の輝きはあるのだ・・・

おわり
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最終更新:2012年07月05日 17:08