第071話:ignition weapon 作:◆PZxJVPJZ3g



「……なんとも、面妖な」
『ひひひひひ、そう言うなよ相棒』
「私を勝手に相棒扱いするな、エンブリオよ」
『素直じゃねぇなぁ、まぁいいけどよ』
──扱いに困る、それが宮野のエンブリオに対する評価だった。掻き回される側ではなく掻き回す側にいる宮野にとって、自分以上に会話を掻き回すエンブリオはまさに天敵と言えた。
だがそれ以上に宮野を困らせているのが、このエンブリオの性質であった。
エンブリオ曰く『何らかの力を己が内に持つ者』のみがエンブリオの声を聞く事が出来るらしく、そういった人間がこのエンブリオの噐たるエジプト十字架を破壊するとその人間の持つ力を完全に引き出すのだという。

『そういうわけだからさぁ、早いとこオレを殺してくんねぇか?』
エジプト十字架を眺めながら、宮野は冷静に考える。果たして、自分は何処から道を間違えたのかと。

湖の中から、エンブリオの入ったバッグを引き上げた事か?

気絶から目覚めた後、北へ向かった事か?

それとも、あの想念体の様な人外の化け物に出逢った事か?

どれも正解のように見えるが、その実殆ど不正解に近い。最も正解に近い解答はただ1つ。

『このゲームに参加させられた事』であろう。

そこまで考えて、宮野は己が唯一の弟子の事について考える。

光明寺茉衣子。
吸血鬼事件の後に誓ったように、どちらかのEMP能力が消失するか彼女が自分を超える存在になるまで
彼女を守らなければならない。
だが、自分は彼女を守れるのだろうか? 自分のEMP能力──、上位世界からの逆干渉を満足に扱えない状況で。

考える事数分、宮野は決意を込めてエンブリオに告げた。
「エンブリオよ、お前はしかるべき人間の手で死んでもらうぞ」
『ひひひ、そうか』
若干はしゃいだ様な声で、エンブリオが応えた。
『ところで、俺を殺してくれるのはどこのどいつなんだ相棒?』
奇怪なる両刃の鋏を鞄から取り出した宮野は、実に宮野らしいアルカイックスマイルを浮かべてこう返した。
「我が愛すべき唯一なる弟子さ」


【D-6/湖のほとり/1日目・04:45】

【宮野秀策】
[状態]:健康
[装備]:『 自殺志願 (マインドレンデル)
[道具]:デイパック(支給品一式)×2、エンブリオ(ゼロスの支給品)
[思考]:茉衣子に逢ってエンブリオを使わせる。

【ゼロスの支給品は宮野がゲットしました】
【残り101人】


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