焚火に包まれて
爆弾投下予告
注意
1.しつこくまた前世です
2.苛められっ子千歌音ちゃんってゆーか意地悪われてるだけ?
3.どこまで苛めていいのか分からないのでソフトです
4.エロはなし、ほのぼの
5.短い
「はぁ~~手が冷たいぃ…」
日の短くなった北風の吹く夕暮れ
トボトボと歩く真琴は両の指先を息で暖めながら嘆いた
その様子に隣に並んで歩いていた姫子は「本当、すっかり寒くなったわね」とクスッと笑った
「早くお屋敷で暖まりたいですね」
学校からの帰り道、赤く綺麗に色づいていた木々の葉は枯れ落ち、紅葉も終わりを告げ冬の訪れを知らせていた
「あ、見てください姫様」
「ん?」
村に入り真琴の指差すほうに目をやると元気に走り回って遊んでる子供たちがいた
「あんな薄着で遊んで。子供って元気ですよね~」
「ふふ、本当ね」
上着を着てる自分らとは違い着物一枚だけで無邪気に遊んでいる寒さ知らずの子供たちの姿に思わず笑顔が零れる
微笑む2人の視線に気づいた子供たちが「姫さま~おかえりなさーい!」と手を振ってきた
「風邪引かないようにねーっ!」
手を振る姫子の変わりに真琴が大きな声で返すと「はぁ~い!」と返事を返し遊びを再開した
「子供って寒くないんですかね?」
「そお?真琴もあの子らと余り大差ないと思うけど?」
「え!?どういう意味ですかそれ??」
「ふふ、さあ?」
「も~はぐらかさないでくださいよぉ!」
そんなこんな会話をしながら村の中を歩き、来栖川の屋敷の門が見えてきた
開けてる門の向こうで中庭に散らばった落ち葉を箒で掃いて集めている下女の後ろ姿が見える
「…あら?あれは千歌音ではない?」
「え?」
立ち止まり怪訝そうな顔で言う姫子に真琴も足を止め、目を細めて門の向こうを見ると、いつもは中で仕事をしているはずの千歌音が上着を着て箒を履いていた
日の暮れかけてる外の寒さに鼻を啜り、時折小さくくしゃみをしている様子に真琴はハッ!とした表情になる
「も~!!イズミ達だ絶対!あいつら自分達が寒いからって!あの子に外の仕事させちゃダメだって言ったのに…!!」
体が弱い千歌音には体力を使う仕事と長時間外でする仕事はさせないように千歌音には内緒で下女らによく言い含めている
なのに外に出ているという事は余り働けない千歌音をよく思わない下女らからの嫌がらせに間違いなかった
止めさせようと門に駆け出そうとする真琴だが、その肩を「待って、真琴」と姫子に掴まれた
振り返ると慌てる真琴とは対照的に冷静な姫子は首を左右に振る
「今私と真琴が行ってはまた目の届かぬところで千歌音が標的にされてしまうわ」
「でもあれじゃあまた千歌音の具合が…」
姫子と千歌音を交互に見ながら心配そうに言う真琴に姫子は笑い、真琴の手を取った
「私に考えがあるわ。ちょっとこっちに来て真琴」
「え?あぁ~!ひ、姫様!?」
ひゅうううーーと乾いた冷たい風が吹き、掻き集めた落ち葉の山が崩れカサカサと乾いた音を立てる
「くしゅん…!」
寒い…でも頑張らなきゃ…
慣れない作業に肩を縮こませ口元にあてた悴む手を息で温めながら、目をぎゅっと閉じ寒さに耐える
すると背後から「あら、千歌音。ご苦労様」と柔らかな声が聞こえた
振り返ると手に包みを抱えた姫子と真琴が立っていた
「あ…お帰りなさいませ姫様。真琴さんもお帰りなさい」
「はい、ただいま。落ち葉を集めてたの?」
にこにこと問う姫子に寒くて口が上手く回らない千歌音はコクンと頷いた
すると姫子も頷き、自分の後ろに立っている真琴を見る
「ちょうど良かったわね、真琴」
「はい♪」
「?」
何やら楽しそうな2人に千歌音は首を傾げ見ていると真琴から「はい、千歌音あげるw」と包みを渡された
あわわとそれを受け取るとゴツゴツとした塊が入っていてほんのりと甘い香りがする 「…さつま芋?」
中を覗き込むと丸々と大きなさつま芋が数本入っていた
姫子も自分の包みの中からさつま芋を取り出し微笑む
「さっきそこで美味しそうな芋が売ってたから皆で食べようと思って買ってきたの
蒸かすか焼くか迷ったけど、せっかく千歌音が落ち葉を集めてくれたのだから焼かない?」
「えぇ、そうしましょう!じゃあ薪と石も用意しないとですね」
姫子の提案に真琴が楽しそうに言うと、姫子は屋敷の方を見た
「イズミ達も隠れて見てるならこっちへ来て手伝ってもらえる?」
大きな声で言うと屋敷の中から「ひぃっ!」と短い悲鳴が聞こえ、わらわらとイズミとミサキ、キョウコの3人が転びそうになりながら出てきた
「えーっと姫様っ!これはですね、あの、そのっ!」
「あの、私たちは中でお仕事をっ!」
「ちょっ!先にお帰りなさいませでしょ!?」
姫子の傍に来るなり我先にと一斉に早口で言い出す3人に姫子は苦笑し「いいわ」と声を掛け制止した
「じゃあイズミは真琴と薪と石を、ミサキとキョウコは村の子供達を呼んできてもらえる?
子供達にも分けてやりたいから」
と、それぞれに役割を与えてやると
「はーい、分かりましたっ。ほれ早く行くよイズミっ」
「あ~!お、お待ちなさい!」
「わ、私たちも参りましょうか?」
「ぇ、えぇ…っ」
銘々指示通りに散らばっていき、落ち葉の前で黙っていた千歌音は姫子と2人きりになった
「あの…私は何をすれば?」
1人だけ何も役割を与えられなかった千歌音が姫子に聞くと、姫子は「じゃあ一緒に芋を並べてくれる?」としゃがみ込み落ち葉の中に芋を置き始めた
千歌音も箒を置き姫子の横に座って、見よう見真似で芋を並べた
全て並べ終えると立ち上がり「危ないから下がってなさい」と千歌音を下がらせ、マッチに火を点け落ち葉の中に落とした
しばらくするともくもくと煙をあげゆっくりと火が大きくなると振り返り、姫子は寒さで鼻の頭が少し赤くなっている千歌音を見た
「寒かったでしょ?もっと近くにおいで」
笑顔で手を差し伸べると、千歌音は躊躇いながらその手に冷たくなった自分の手を重ね合わせた
柔らかくて暖かい姫子の手に包まれ焚火の前にもう一度しゃがみ込むと冷え切った体がじんわりと暖まっていく
「暖かい…」
繋いでない方の手の平を火にあてぽつりと言うと、コツンと肩に姫子が頭を預けてきた
ドキッとした千歌音の肩の上で姫子は微笑みゆっくりと瞼を落とした
「今夜も千歌音の部屋に行っても良い?」
皆の前とは違い、甘えるような声で言い繋いだ手に指を絡めた
「……////」
その姫子の言葉に千歌音は、かあっと頬が染まり恥ずかしくて手で口元を押さえた
緊張して何も言えず黙っているとパチッ…パチッ!と火の粉が舞う
返事が知りたい姫子が催促するように絡めた指を動かすと千歌音はこくりと不器用に頷いた
「良かった…」
安心し嬉しそうなその声に千歌音の心も暖かくなり、絡めた指を握り返しゆっくりと姫子の頭に頬を寄せた
「めげずに仕事頑張ってね」
「うん…ありがとう」
心が通じ合う2人は皆が戻ってくるこのほんの僅かな時間、暖かな炎と優しさに包まれていた
END
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