型式:N6221
年式:2005年
台数:10台
定員:120名
座席:52+1名


N6221は、ドイツのネオプラン製の連節トロリーバスです。
2005年のサクラディア線開通・三橋総合公園延伸に伴い10台が導入されました。
今まで15年間使ってきたベンツ製からネオプラン製に切り替わったのは、車体幅の問題がありました。
ベンツは既にO405からシターロに切り替わり、車体幅が2550mmとなった為、日本の基準より50mm広くなりました。
もともと12メートル超のバスばっかりのさいたまトロリーにおいても、道路を走る以上はこの問題を無視できませんでした。

また、ベンツ自体がトロリーバスの製造をやめてしまったようなので、他のメーカーを探すことになったのです。
そんな折、神奈川中央交通がネオプランの連節バス「セントロライナー」を導入するとの話がありました。
当時でも数少ない「右ハンドル」対応メーカーであったネオプランに、さいたまトロリーからも車両の製造を打診することになったのです。
かなちゅう向けの車両とは製造時期が重なりますが、ボディーはかなちゅう向けより新しいN45ボディーが載っています。
当時ネオプランでは路線バス車種のモデルチェンジの時期に当たっており、「セントロライナー(N44シリーズ)」から、
「セントロライナー・エボリューション(N45シリーズ)」へと引き継がれていました。
N45のトロリー仕様には全長18メートルと欧州新規格の18.75メートル両方が
ラインナップされたのに対し、ディーゼル仕様は18メートル級が無くなって18.75メートルのみのラインナップとなりました。
その為かなちゅう向けのディーゼル仕様は特注でN44シリーズをベースに作られることになり、
さいたまトロリー向けのトロリー仕様は、セオリー通りN45シリーズとして作られたのです。

輝くネオプランのロゴプレート

やっとのことで製造の了解をもらったネオプラン車は、いくつかの妥協を余儀なくされました。
まずは右ハンドルなおかつ日本の特殊な法規に合わせる手間から、製造は10台ロットからというメーカーの要求を飲まざるを
得なかったこと。(このへんは、逆に10台ロットで作ってくれるネオプランを崇めねばなりませんが)
そして、なにより悔しかったのは、4ドアに出来なかったことです。
第3軸後の公式側には駆動用モーターの設置スペースとなっていて、後扉の設置ができませんでした。
このことは、連節車両を全て4扉で導入し、扉ごとの整列乗車を行っているさいたまトロリーにとって大きな問題となりました。
メーカーには段差がついてもよいから後ろ扉をつけてくれないかと打診しましたが、取り合ってくれなかったといいます。

結局、扉の問題からラッシュ時は新車にもかかわらずメインとなる西高島平発着系統には使用できず、支線系統に使われています。
日中は全線に顔を出し手いますが、次の新車までのつなぎという、なんとも不本意な車両となってしまいました。


左ハンドルで実績のあった仕様をベースに、必要なところのみを仕様変更する手法で製造されました。
その為、燃料タンクも非公式側2両目の前方に搭載されるなど、左ハンドル仕様の面影が色濃く残っています。
前述したモーターの位置関係も、左ハンドル仕様をベースとしているので仕方のないところ。
(進行方向左側へのドア設置は想定されていない)
最後部にはエンジンと発電機横向きに搭載されており、非トロリー区間の動力源となります。
このスペースにより、車内スペースが1メートルほど犠牲になっています。

車内は座席数重視の仕様となっています。後ろ向きの座席も10席以上ありますが、これは座席数確保の為できるだけ
車内の段差部分を利用して座席を設けた為です。
後ろ向き座席の是非には賛否両論あるかと思いますが、現在路線距離の比較的短い路線での運用がメインの為
あまり問題にはなっていないようです。


車内天井の出っ張りは国産車よりも大きいですが、この車両は出っ張りにも骨格が形成されていて、
車体の剛性アップに貢献しています。


さいたま新都心から埼玉大学へと向かう。この区間はトロリーではなく、車載のエンジンの発電した電気で動く。
最終更新:2011年04月25日 01:52