参拾萬仮想大学

【おまけ】 4次元ポケットの秘密

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のべ太
「ねぇドラいもん,4次元ポケットってどういう仕組みになってるの? なんでそんなに小さいポケットにいろいろなものがたくさん入れられるの?」

ドラいもん
「知りたい? じゃあ説明してあげようかな,フフフフフフ。
 僕たちの住んでいるこの世界にあるもの,僕たちが持ってるものや目にするものはすべて3次元の物体だよね。つまり言い換えれば4次元的な厚みがない。だから,4次元空間には3次元のモノをいくらでもしまうことができるんだ。」

のべ太
「そんな難しい言い方されたってわからないよ。もっと僕みたいな小学生にもわかるような説明をしてくれない?」

ドラいもん
「うーん,そうだなぁ。じゃあ,えーっと……
 ねぇのべ太くん,一辺の長さが1cmの正方形の面積はいくつかわかる?」

のべ太
「そんなの簡単だよ。1\rm{cm}^2! ……だよね?」

ドラいもん
「そうだね。じゃあこの正方形の中に,長さが1cmの直線※は何本描ける?」
 (※:正確には「線分」です,以下同様。)

のべ太
「えーっと,そうだなぁ。15本くらい描けるかな。でももしかしたらもっと引ける?」

ドラいもん
「シャーペンの芯の太さが一般的な0.5mmだとすると,1cm(10mm)の中には10÷0.5=20本描けるよね。」

のべ太
「うわぁ,算数の式が出てきた。数式を使わずに説明できないの?」

ドラいもん
「のべ太くん,これくらいの計算はガマンしてよ。シャーペンの芯がもっと細くてもし0.1mmだったらどうなる?」

のべ太
「そんなに細い芯は売ってないよ。」

ドラいもん
「もしもあったら,という話でいいよ。今から4次元の話をするんだから,多少は現実離れした発想にも慣れておかないといけないんだ。」

のべ太
「えーっとねぇ。1cmが10mmでしょ。だから10÷0.1で,えーっと……」

ドラいもん
「100本も描けるね。さっき10÷0.5=20と計算したから,太さが 1/5 になったら本数が5倍に増えたと考えることもできるよ。」

のべ太
「なんだかドラいもんが先生みたいに見えてきた。なんだかヤな感じ!」

ドラいもん
「もぅ,のべ太くんってば。説明を聞きたいの,聞きたくないの,どっち!?」

のべ太
「ゴメンゴメン,ちゃんと聞くよ。それで?」

ドラいもん
「じゃあシャーペンの芯がもっともっと細くなったら,描ける本数はどうなると思う?」

のべ太
「細くなればなるほど,本数は増やせるのかな?」

ドラいもん
「その通り! じゃあ,太さが0mmになったら,どうなる?」

のべ太
「太さがないシャーペンの芯!? そんなの売ってるわけないよ!」

ドラいもん
「だから,もしもの話だってば。もしも太さのない線を描くことができるとしたら,その線は何本描ける?」

のべ太
「だって太さがないんでしょ,だったらいくらでも描けるんじゃない,ホンの少しだけずらして線を引いても,その線と線の間にまたいくらだって線が引けるし,そこに引いた線と線の間にもまたいくらでも線が引けるし,その線と線の間にも……」

ドラいもん
「そうだね,それを繰り返していけば,いくらでも,つまり無限に線を引くことができるんだ。」

のべ太
「へぇー,たった1\rm{cm}^2の正方形の中に線が無限に描けるなんて,不思議だなぁ。」

ドラいもん
「線に太さがない,というところが現実離れしてるけど,でも面白いよね。
 じゃあ次に,同じことを次元を上げて考えてみよう。のべ太くん,一辺の長さが1cmの立方体の体積はいくつ?」

のべ太
「またバカにして。1\rm{cm}^3に決まってるじゃないか。」

ドラいもん
「その立方体が箱だとして,この箱の中に,面積が1\rm{cm}^2の正方形は何枚しまえる?」

のべ太
「えっと,よくわからないけど,100枚くらいかなぁ。」

ドラいもん
「紙の厚さが0.1mmだとするとそうなるね。じゃあ,紙の厚さが0mmだったら?」

のべ太
「厚さがない紙なんてあるはずないよ! 書くことも折ることもできないじゃないか!」

ドラいもん
「んもう,のべ太くんったら。もしもの話だって何度も言ってるでしょ。」

のべ太
「あっ,そっか……。じゃあ,えっと……。わかった! また限りなく何枚でもしまえるのかな?」

ドラいもん
「そうだね。じゃあそろそろ,ここまでの話をまとめてみようか。のべ太くん,0.5mmのシャーペンの芯で1cmの直線を書いたら,その面積はどうなる?」

のべ太
「えっ,直線の面積ってどういうこと?」

ドラいもん
「0.5mmのシャーペンで直線を引いたら,その直線の太さは0.5mm。つまりその1cmの直線というのは,縦1cm,横0.5mmの細長ーい長方形とみなせるんだ。」

のべ太
「なるほど……。じゃあ,1×0.5で……」

ドラいもん
「ちょっと待ってのべ太くん,縦の長さの単位はcmだけど横の長さの単位はmmだよ!」

のべ太
「あっそうか…… じゃあ,単位を揃えるために横の長さを0.05cmとすると,1×0.05で…… 0.05\rm{cm}^2かな?」

ドラいもん
「そうだね。じゃあ,太さが0mmだったらどうなる?」

のべ太
「1×0=0 ?」

ドラいもん
「そう,つまり太さが0mmの直線というのは面積が0\rm{cm}^2だから,面積1\rm{cm}^2の正方形の中にいくらでも描けるんだ。同じように,厚さが0mmの正方形の紙は体積が0\rm{cm}^3だから,体積1\rm{cm}^3の立方体の中にいくらでも描ける。」

のべ太
「なるほどね,それはわかったよドラいもん。でも,僕にはまだ4次元ポケットの話とどうつながるのかわからないんだけど……。」

ドラいもん
「んもう,相変わらずにぶいなぁ。僕たちが住んでいるこの世界にあるすべての物体は3次元だよね。つまり縦,横,高さの3つの方向を持っている。でも,第4の方向の厚みがない。だから,その大きさを計算すると0\rm{cm}^4なんだ。」

のべ太
\rm{cm}^4なんて単位,見たことも聞いたこともないよ。なんて読むの? そもそも第4の方向ってどっちの方向なのさ?」

ドラいもん
「この世界が3次元だから,第4の方向は僕たちにはわからなくて当たり前だよ。」

のべ太
「ふーん,それで?」

ドラいもん
「……だからね,のべ太くん。0\rm{cm}^4ってことは,4次元空間内の限られた狭いスペースの中にも,無限にしまうことができるっていうことなんだ。」

のべ太
「うーん,せっかく説明してくれてるけど,やっぱりよくわからないや。ねぇドラいもん,僕みたいな小学生にも4次元ポケットの仕組みが簡単にわかる道具,ないの?」

ドラいもん
「……ダメだこりゃ。」






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