GDW世界 ヴァイオレット創作@ ウィキ
小説 アーク編
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更新日:2023/12/02 Sat 05:27:13
★悟と雅 昼想夜夢恋歌
「ね、姉ちゃん!大変や!なんか僕宛てに怪しい手紙が届いたんやけど!イタズラか怪文書かこれ?」
時は2027年、紅葉に染まった秋頃のこと…和歌山県は清明村にてちょっとした騒動が起きたのだ。
「何怪文書?それも悟宛てにか?」
「怪文書ってそんなドラマでもないんやから…」
「せや…これなんやけど…送り主に会った覚えがないのに"未来の旦那さま"とか書かれてたんや…読めば怪文書っていうのもわかると思うで?」
少年の名は阿倍悟、アクエリアスの幹部である慎一の息子にして阿倍智晶の弟である。
その悟と一緒にいるのは高山龍二。アクエリアスのメンバーにして慎一の弟子でもある。
その悟と一緒にいるのは高山龍二。アクエリアスのメンバーにして慎一の弟子でもある。
「じゃあ姉ちゃん読むで?」
「頼む。」
悟から渡された怪文書とやらを受け取ったのは阿倍智晶、慎一の娘であり、悟の3歳上の姉だ。
~~~拝啓 未来の旦那さまへ
突然の手紙をお許しください
わたくしの事を覚えておりますでしょうか
お互い小学生の頃 お会いしたと思います
大阪で開かれた卓球の大会で負けて泣き出してしまった私を慰めてくれたことが未だに忘れられず、
それ以来貴方に会いたいとずっと願っておりました
そして今回念願叶ってようやく手紙を送ることができました
もし都合がよろしければ京都の嵐山へ来ていただけないかと思っております
白い帽子と紫の鞄が目印です
貴方を想ふ人 より~~~
「…やと。なんや、怪文書どころかラブレターやないかw悟のこと好きな女子が現れたんなら姉ちゃん嬉しいでw」
「えぇ…突然の手紙やからめっさ怪しいしそもそも覚えがないから怖いんやけど…」
「確かに最近そういうの増えてるから警戒する気持ちもわかるで?
せやけど悟を小学生から知っとるっちゅうことは怪しいもんではなさそうやん?」
せやけど悟を小学生から知っとるっちゅうことは怪しいもんではなさそうやん?」
「おうおう悟にも春が訪れたか!遠慮はいらん!
男たるものイケイケドンドンじゃ!」
男たるものイケイケドンドンじゃ!」
「なんやなんや?うわー怪文書やな確かにおーこっわ…」
怪文書という名のラブレターを読み終えた後に喋る二人。
その内2mを超える長身で中性的な顔立ちなのは草薙尊、
もう一人の京都訛りで喋る悟と同年代と思わしき少年は蘆夜涼一だ。
その内2mを超える長身で中性的な顔立ちなのは草薙尊、
もう一人の京都訛りで喋る悟と同年代と思わしき少年は蘆夜涼一だ。
1時間以上経った頃だろうか。
電車やバスを乗り継いでようやく京都の嵐山に着いた悟。
偶然この日は人があまりいなかったためか、すぐに送り主らしき少女を発見できた。
偶然この日は人があまりいなかったためか、すぐに送り主らしき少女を発見できた。
少女はやや俯いてるのでわかりにくいがその肌はきめ細やかで色も白く、
目はパッチリとしており美しくも可愛らしい顔立ちだ。
目はパッチリとしており美しくも可愛らしい顔立ちだ。
「…えっと、手紙の送り主…ですか?」
「…!」
先程まで俯きながらどこか憂いを帯びていた少女の表情が悟の声を聞いた途端一気に明るくなる。
「やっと…やっと会えた!悟はん!ずっと待ち焦がれたんどすえ!」
「ど、どうも。」
「僕の名前を知っとるっちゅうことはどっかで会ったことがあるって事やな?」
「そうどすよ?」
「えっと、失礼やけど名前は…」
「名前?秘密どす♪そやけど、あんたと会うたことあるとだけ言わしてもらうなぁ。」
「うーん…どこか懐かしさを感じるし、初対面やないのは確かなんやけど、
思い出せそうで思い出せへんのや…せっかく呼んでくれたのにごめんな…」
思い出せそうで思い出せへんのや…せっかく呼んでくれたのにごめんな…」
「そんな…酷いどす…」
ところ変わって悟を尾行してきた智晶達は観光客に変装し、少し離れた所から弟の恋路を見守っていた。
「何やっとるんや…せっかく呼び出してくれた女の子にそんなこと言ったらアカンやろ!泣きそうになっとるやないか!」
「悟は女心というモンがわかっとらんな…」
「鈍感というか朴念仁ってやつかどちらかかのぉ?」
その後も膠着状態が続き…
「まだ思い出してくれへんのどすか?手紙にも書うたけど試合に負けて泣き出したうちを慰めてくれたやないか?」
「試合、泣き出して、慰めて…あれ…?もしかして、小学生の頃に大阪で開かれた大会で僕と戦った"雅ちゃん"か!?」
~~幼少期の回想~~~
「うあーん!負けたぁ!悔しぃ!」
「あーもう落ち着いてや!雅ちゃんエラく強かったで!気を抜いたら負けとったもん!」
「うちはまだ負けてへん!もういっぺん勝負や!」
「それはルール違反やから困るで!?」
「うあーん!うちは負けとらん!」
「わかった!大きくなったら雅ちゃんと結婚するで!それでええやろ?」
「ひぐっ…うぅ…」
「(やっと泣き止んだで…)」
「…約束やよ?大きなったらうちをお嫁はんにしてな?」
「お、おう!約束するで!」
~~回想終わり~~~
雅の発言によって欠けていたピースがハマるような感覚となり、あの頃の記憶が蘇る悟。
同時に優しい風が吹くと夕陽に照らされた紅葉が揺れ、落ち葉もひらりひらりと風に舞う。
偶然が生んだとはいえ、幻想的な光景だ。
「もう、いけずやわぁ…やっと思い出してくれたんどすなぁ…悟はん…
それに大きなったら結婚するって言うとったやない。」
それに大きなったら結婚するって言うとったやない。」
「あれは咄嗟に出てしもうて…ってまだ覚えてたんか!恥ずかしいわ!w」
「当たり前やん?指切りもしたしあの時えらい嬉しかってんよ?フフフフ♪」
「」
一時は暗雲が立ち込めたが土壇場で悟が思い出したおかげでなんとか持ち直し、二人に笑顔が戻る。
「やっぱり、手紙の主はみーちゃんやったか。」
「え、知ってたんか?」
「せやね。弟を小学生のころから知っとるって文章でなんとなくやけどね。
これはみーちゃんやなって察しがついとったんよ。オフ会する度に恋バナするんやけどその都度うちの弟の事を顔紅くしながら話しとったしな。」
これはみーちゃんやなって察しがついとったんよ。オフ会する度に恋バナするんやけどその都度うちの弟の事を顔紅くしながら話しとったしな。」
「俺も知っとったよ?雅姉ちゃんずっと悟に会いたい言うとったし、何よりこの時を待っとったみたいや。」
ある種のネタばらしをする智晶と涼一。そう、あの時は何も知らずに驚くリアクションはすべてが演技だったのだ。
「いやぁそれにしても雅ちゃん綺麗やしかわええのぉ…口調も相まってまるでお姫様みたいじゃ…」
「お姫様かぁ、それある意味間違っとらんよ。何故ならみーちゃん蘆夜家の出身やから。」
「へえ…って蘆夜!?まさかあの蘆屋道満の末裔か!?」
驚く尊。まあ、驚くのも無理はない。安倍晴明の末裔がいることは既に知っているがそのライバルの末裔もいることを初めて知ったからだ。
「せやで。うちのご先祖様のライバルとして有名なあの蘆屋道満の末裔や。
もっともうちの家系同様直系やないし、現代じゃ特に両家は確執はないんやけどね。
強いて言うならうちらからすればプライドの高さが鼻につく位やな。」
もっともうちの家系同様直系やないし、現代じゃ特に両家は確執はないんやけどね。
強いて言うならうちらからすればプライドの高さが鼻につく位やな。」
「にしても小学生の頃から思い続けてたんか。一途やわぁ…」
「ごめんな、忘れてしもうて…でも雅ちゃん、初めて会ったあの時から…めっっっっっさ可愛なったで?」
「そう言われると照れるけど嬉しおす♪悟はん♪」
「ふむ…順調やな。応援しとるよ…!」
いつの間にか現れ、隠れている智晶達とちゃっかり一緒に二人の恋路の行く末を見守るサングラスをしたロングコートの男性。傍から見ると不審者だ(汗
「お、二人の恋路を見知らぬおっさんも…って悠誠さんやないかい!」
「うわっ!なんでおとんがおるん!?」
「しーっ!声が大きい!というかうわっとはなんだうわっとは!」
智晶と息子である涼一の思わぬツッコミに焦る男性。
不審者にしか見えない男性の正体は雅と涼一の父親である悠誠だったのである。
不審者にしか見えない男性の正体は雅と涼一の父親である悠誠だったのである。
「それにしても悠誠さんもなんで嵐山におるん?」
「話せば長くなるんで手短やけど話すで?娘の雅がここしばらくの間様子がおかしかったんで見守っとったんよ。
暫くしてから嵐山に行くと言い出したさかいこっそり追ってみたら、この通りという事や。」
暫くしてから嵐山に行くと言い出したさかいこっそり追ってみたら、この通りという事や。」
「最近未来の旦那さまがとか言うとったし、
遂に娘にも想い人ができたのかと思ったんだがまさか悟君の事やったとはな。
しかもあの時からずっと再会を願い、想い続けとったと…泣けるなぁ…」
遂に娘にも想い人ができたのかと思ったんだがまさか悟君の事やったとはな。
しかもあの時からずっと再会を願い、想い続けとったと…泣けるなぁ…」
「へぇ…まだわかれへんけど、もしかしたら悟は俺の義兄弟になるかもしれへんってことか?」
「これから交際が順調に進めばな。私の親父は眉をひそめるやろうが私自身は反対はせんから安心せぇ。寧ろ二人の恋路を応援する立場や。」